「風、薫る」第102回 感想・ネタバレ|「強さがない」夢を目前で奪われたシマケンの絶望がつらい

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看護婦として新たな患者と向き合うりん(見上愛)と、小説家になる夢を追うシマケン(佐野晶哉)の日々が大きく動いた連続テレビ小説「風、薫る」第102回。
新聞連載の決定を喜んだシマケン(佐野晶哉)でしたが、家族の借金問題に続き、掲載当日に小説が別作品へ差し替えられるという厳しい現実に直面します。
一方、りん(見上愛)はリウマチを患う佳枝(相田翔子)の心に少しずつ寄り添っていきます。
喜びと絶望が鮮やかに交差し、「努力だけでは届かないのか」と考えさせられる回でした。

ドラマ名:風、薫る
放送局:NHK総合ほか
放送年月日:2026年8月18日
出演者:見上愛、上坂樹里、佐野晶哉、木越明、相田翔子、金澤美穂、小松和重

連載決定の先に結婚まで見えたのに、この幸せはあまりにも短かった

アヤ:シマケン(佐野晶哉)の連載が決まって、りん(見上愛)と手を取り合って喜ぶところ、本当に幸せそうだったよ。前回まで頑張ってきた姿を見ているから、やっと報われたって思ったのに。
リナ:しのぶ(木越明)が「それって結婚ってこと?」と聞くのも、二人の関係が次の段階へ進みそうな空気を感じさせたね。ただ、連載が決まったことと結婚は別だとも思うけれど。
ミユ:私は直美(上坂樹里)が、まだぐずぐずしていたらシマケン(佐野晶哉)のお尻を叩くって言うところが好きだったな。二人を近くで見てきたからこその温かさを感じたよ。
アヤ:あの3人の笑顔を見たら、もうこのまま幸せな方向へ進むと思うじゃん。だから後半の展開との落差が余計につらかった。最初の喜びを返してって言いたくなったよ。
リナ:でも連載が決まった時点で、シマケン(佐野晶哉)の人生が安定したわけではなかったのよね。夢への入口に立てただけで、その先には本人の努力ではどうにもならない事情まであった。
ミユ:それでも、りん(見上愛)と喜びを分け合えた時間は無駄じゃないと思いたいな。結果が覆されても、シマケン(佐野晶哉)がそこまで頑張ったことを知っている人はちゃんといるから。
アヤ:私はそこが逆につらいかも。りん(見上愛)にも喜んでもらって、結婚の話まで出た直後だからこそ、「連載できませんでした」って伝えるシマケン(佐野晶哉)の気持ちを考えちゃう。
リナ:シマケン(佐野晶哉)は自分の夢だけを背負っているわけではなくなってきたからね。家族の問題まで出てきたことで、書き続けることへの重圧もこれまで以上に大きくなりそう。
ミユ:幸せな場面があったから、夢を失いかけるシマケン(佐野晶哉)の孤独が余計に際立ったよね。りん(見上愛)が今の彼を知ったら、どんな言葉をかけるのか気になるな。

「あなたの手はとても心地いい」治せなくても、りんにできることがある

アヤ:佳枝(相田翔子)が「一生誰かの手を借りないといけないのね」って漏らすところ、静かな言葉なのに重かったな。治療法がないと知りながら過ごす気持ちは簡単に想像できないよ。
リナ:そこでりん(見上愛)が何か大きな言葉で励ますのではなく、佳枝(相田翔子)の手を温めるのが印象的だった。治せない症状を前に、看護婦としてできることを行動で示している。
ミユ:「あなたの手はとても心地いいわ」って佳枝(相田翔子)が言ってくれたのがうれしかった。体の痛みをなくせなくても、触れてもらうことで心が少し楽になることってあるんだろうな。
アヤ:私は佳枝(相田翔子)が「これからずっとお願いできる?」って言ったところでもう安心したよ。初めて会ったりん(見上愛)に、ちゃんと心を開き始めているのが伝わってきた。
リナ:ただ、私はここからが本当の看護だと思う。最初の印象が良かったことと、長く患者に寄り添えることは別だからね。りん(見上愛)が佳枝(相田翔子)の苦しさとどう向き合うのか見たい。
ミユ:そうだね。佳枝(相田翔子)はこれからも人の手を借りることへのつらさを感じるかもしれないし、りん(見上愛)が優しいだけでは支えきれない場面も出てくるのかな。
アヤ:でも私はりん(見上愛)の手が二人の関係の始まりになったのが好きだな。言葉で無理に元気づけるより、「心地いい」と思える時間を作れたこと自体が大きい気がする。
リナ:それに、りん(見上愛)が“看板看護婦”として任された仕事だから、本人にとっても新しい経験になるはず。佳枝(相田翔子)との関係を通して看護婦としてどう変わるのかも重要ね。
ミユ:シマケン(佐野晶哉)が自分の価値を否定される一方で、りん(見上愛)は自分の手を必要としてくれる人と出会った。その対照が今回はすごく心に残ったな。

妊娠を「迷惑」と言わせない、直美の一喝に込められたもの

アヤ:しのぶ(木越明)の妊娠が分かったのはうれしいのに、本人が最初に「迷惑かけて」って謝るのが切なかったよ。喜ぶより先に仕事の心配をしちゃうんだって思って。
リナ:だからこそ直美(上坂樹里)の「What are you talking about?」が効いていたね。妊娠した本人が自分を迷惑な存在として扱うことを、看護婦として認めない姿勢がはっきりしていた。
ミユ:私は「妊娠を迷惑などと看護婦が口にするのは断じて許しません」って言ったあと、笑顔になる直美(上坂樹里)が好きだったな。叱っているけれど、根っこには祝福があるんだよね。
アヤ:でもしのぶ(木越明)が「子どもができたら働くわけにはいかない」って考える気持ちも分かる気がする。その状況で周りへ負担をかけたくないと思ってしまったんだろうね。
リナ:そこはしのぶ(木越明)を責める話ではないと思う。むしろ本人がそう考えざるを得ない中で、直美(上坂樹里)が違う価値観を示したことに意味があるんじゃないかな。
ミユ:りん(見上愛)も直美(上坂樹里)も温かく祝ってくれるから、しのぶ(木越明)も少し安心できたんじゃないかな。まず「おめでとう」と受け止めてもらえる場所があるのって大きいよ。
アヤ:幸せな話が続いていたから、このあたりまでは今日は穏やかな回なのかなって油断してたよ。そのあとシマケン(佐野晶哉)にあんな現実がまとめて押し寄せるなんて思わなかった。
リナ:構成としても幸福と不幸の落差がかなり大きかったね。新しい命が祝福され、りん(見上愛)が患者から必要とされる一方で、シマケン(佐野晶哉)は自分の価値を疑うところまで追い込まれる。
ミユ:だから直美(上坂樹里)たちの笑顔があとから思い出されるんだよね。誰かの人生が上向いているとき、別の誰かには苦しいことが起きている。その並びがすごく切なかった。

「強さがない」その一言で、シマケンの積み重ねまで否定されたように見えた

アヤ:義姉の絹(金澤美穂)が来て、シマケン(佐野晶哉)の兄が多額の借金を残して行方不明だと分かった時点でもう苦しいよ。それなのに連載まで消えるなんて容赦なさすぎる。
リナ:しかも掲載予定日に新聞を開いて初めて自分の小説がないと知るのが厳しいね。広告主の親族の作品へ差し替えられたという事情は、シマケン(佐野晶哉)の努力ではどうにもできない。
ミユ:だからシマケン(佐野晶哉)が「誌面に載せてもらう努力をするしか」と食い下がるところがつらかった。まだ諦めず、自分にできることを探そうとしていたんだよね。
アヤ:そこへ綿貫(小松和重)の「強さがない」はきついよ! 連載の差し替えはシマケン(佐野晶哉)の作品が原因じゃないのに、どうしてそのタイミングでそこまで言うのって思った。
リナ:私は綿貫(小松和重)が作品への評価を伝えること自体は必要だったと思う。ただ、「今まではっきり言わなくて申し訳なかった」と本人も認めているように、もっと早く伝える余地はあったよね。
ミユ:「純粋で美しい。でも強さがない」って、褒められている部分までシマケン(佐野晶哉)には届かなかった気がする。「つまり僕には才能がない」と受け取ってしまったのが苦しかった。
アヤ:私は綿貫(小松和重)の言った「強さ」と「才能がない」は同じなのかなって引っかかった。シマケン(佐野晶哉)が絶望してそう結論づけただけで、まだ書くことまで諦めなくていいと思う。
リナ:そこは私も分けて考えたい。綿貫(小松和重)は文章を「純粋で美しい」と評価している。何が足りないのかという指摘と、才能そのものの否定は必ずしも同じではないはず。
ミユ:でも今のシマケン(佐野晶哉)には、そんなふうに冷静に考えられないよね。家族の借金まで背負わされそうな中で夢まで折られて、自室で原稿を破る姿には孤独しか感じられなかった。

第102回は、誰かに必要とされる喜びと、自分の価値を見失う絶望が同時に描かれた回でした。
佳枝(相田翔子)の手を優しく温めるりん(見上愛)の姿が穏やかだっただけに、原稿を破り捨てるシマケン(佐野晶哉)の姿が強烈に心へ残ります。
綿貫(小松和重)の言う「強さがない」は、本当に才能がないという意味なのでしょうか。
家族の借金問題まで抱えたシマケンが再び原稿へ向き合えるのか、そしてりんが彼の絶望を知ったとき何を伝えるのか、次回を見守りたいです。

※第1話からの全話視聴はNHKオンデマンドやU-NEXT等で配信されています。

風、薫る
文明開化が急速に進む明治。主人公は、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ二人の女性。激動の時代に新たな風を起こす、ちょっと型破りな二人のナースの冒険物語。(C)NHK

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