川名壮志さん原作、棚園正一さん漫画による『ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話―』上巻が、2026年10月8日に発売されます。
本作が描くのは、2004年6月に長崎県佐世保市で発生した「佐世保小6女児同級生殺害事件」と、その後を生きる被害者家族の姿。
事件そのものを追うだけではなく、突然大切な家族を失った人たちが何を感じ、どのように喪失と向き合っていったのかを、被害者の兄・御手洗純一の視点から描くノンフィクション作品です。
ある日突然、妹がいなくなった。
その事実を家族はどう受け止め、そこからの日々をどう生きたのか――。事件の「その後」に生き続ける家族に焦点を当てた一冊です。

2004年6月、突然奪われた大切な妹
主人公となるのは、新聞記者・御手洗恭二の次男として生まれた御手洗純一。
きょうだいの中でも、純一は一番下の妹・怜美と特に親しい関係でした。
しかし2004年6月、その日常は突然失われます。
佐世保で発生した小学生同士の事件によって、怜美が命を奪われたのです。
報道を通して社会に広く知られることになった事件。しかし、ニュースで伝えられる「事件」の背後には、それまで一緒に笑い、話し、生活していた大切な家族を突然失った人たちがいました。
本作は、そんな遺された側から見た時間を描いていきます。
事件ではなく、その後を生きる“家族”の物語
大切な人を突然失ったからといって、残された家族の時間まで止まるわけではありません。
悲しみを抱えながらも、毎日は続いていきます。
食事をし、学校や仕事へ行き、周囲の人と話しながら、それでも心の中には失った家族の存在があり続ける。
『ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話―』が描こうとしているのは、事件の衝撃だけではなく、その後も続いていく遺族の人生です。
妹を失った純一、そして父や家族は、その出来事をどのように受け止めていくのか。
「家族の再生」という視点から事件を見つめ直していることが、本作の大きな特徴です。
原作は川名壮志『僕とぼく―佐世保事件で妹を奪われた兄と弟―』
本作の原作となっているのは、川名壮志さんによるノンフィクション『僕とぼく―佐世保事件で妹を奪われた兄と弟―』です。
川名さんは毎日新聞社へ入社後、初任地として長崎県の佐世保支局に赴任し、この事件に遭遇しました。
その後も取材を重ね、佐世保事件をめぐるノンフィクションを執筆しています。
単なる第三者として事件を振り返るのではなく、事件当時から御手洗家と関わり、その後の家族について取材してきた川名さんの記録が、今回あらためて漫画という形で描かれます。
漫画を手がけるのは『学校へ行けない僕と9人の先生』の棚園正一
漫画を担当するのは棚園正一さん。
棚園さん自身、小学校から中学校までの9年間を不登校で過ごした経験を持ち、その体験をもとにした『学校へ行けない僕と9人の先生』などを発表してきました。
実体験や人の心の動きを漫画として伝えてきた棚園さんが、今回向き合うのは、妹を失った兄とその家族の記録です。
文章で綴られたノンフィクションが、人物の表情や沈黙、家族の日常まで描くことのできる漫画という表現によって、どのように再構成されるのか。
原作を読んだことがある方にとっても、注目したいコミカライズです。
タイトルの「ひみつ」が意味するもの
そして気になるのが、作品タイトルにもなっている「ひみつ」という言葉です。
なぜ、この家族の物語に「ひみつ」というタイトルが付けられているのか。
その意味は物語が進むにつれて、純一と妹・怜美の関係、そして純一自身が抱えていく思いと結びついていきます。
事件が起きる以前、兄と妹の間には確かに日常があり、二人だけの会話がありました。
事件によって失われたのは一人の命だけではなく、それまで家族が当たり前だと思っていた時間でもあります。
タイトルに込められた意味を考えながら読み進めることも、本作を理解するうえで大切なポイントになりそうです。
上・下巻が同日発売――家族の再生までを続けて読める
『ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話―』は、上巻と下巻が2026年10月8日に同時発売されます。
上巻で描かれるのは、純一と妹・怜美の関係、そして突然家族を襲った喪失。
さらに物語は下巻へと続き、純一が抱える苦しみや自責の念、その先で家族がどのように生きていくのかへと踏み込んでいきます。
事件発生だけを物語の終着点にするのではなく、遺された家族がそこからどう生きていったのかまで描く作品だからこそ、上下巻を通して読みたい一作です。
ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話― 上
- 原作:川名壮志
- 漫画:棚園正一
- 発売日:2026年10月8日
- レーベル:バンチコミックス
- 出版社:新潮社
- 価格:902円(税込)
- ページ数:256ページ
- ISBN:9784107729873
『ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話―』上巻は、2026年10月8日発売。
本作は、事件のセンセーショナルな部分を消費するための物語ではありません。
突然妹を失った兄と、娘を失った父。そして残された家族が、それぞれの悲しみを抱えながら、その後の日々をどう生きたのか。
ニュースとして報じられた事件の向こう側にあった、一つの家族の時間を描くノンフィクションコミックです。
上下巻は同日に刊行されるため、この家族が経験した喪失と、その先にある再生まで見届けたい方は、2冊あわせてチェックしてみてください。






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