荒川弘作画、田中芳樹原作『アルスラーン戦記』第24巻では、魔道士たちの企みによって王都が地獄のような戦場へと変貌します。異形の魔物が民を襲うだけでなく、非業の死を遂げたパルスの英雄までもが闇の力で蘇り、かつての仲間へ刃を向ける事態に。さらに蛇王ザッハークはアンドラゴラスの肉体を得て現世へ降臨し、アルスラーンの命を狙います。人間同士の王位争いから一転、かつて敵対した者たちまで蛇王という脅威を前に動き出す第24巻。今回は絶望感漂う王都での戦い、アルスラーンの決断、宿敵同士の共闘やアルフリードの姿など、印象に残った場面を3人がネタバレありで語ります。
作品名:アルスラーン戦記(24)
作者:荒川弘(著)、田中芳樹(原著)
出版社:講談社
発売日:2026年03月09日
アンドラゴラスの姿で蛇王降臨って、絶望の重ね方が容赦なさすぎる
ミコ:蛇王ザッハークが復活するだけでも大事件なのに、アンドラゴラスの肉体を手に入れて現れるのが私はきつかったな。よりによってその姿なのかって思ったよ。
ユナ:分かる。私は強敵が増えたというより、パルスの歴史そのものが悪夢みたいな形で戻ってきた感覚だった。アルスラーンにとっても嫌すぎる相手だよね。
サキ:私はアンドラゴラスが死んだところだけでも壮絶だったのに、その肉体で蛇王って何なの!? もう休ませてあげてよって、怖さより先に叫びたくなったよ。
ミコ:しかも王都では異形の魔物が民を襲って、死んだ英雄まで闇の力で蘇るでしょう。これまでの戦争とは明らかに違う地獄になった感じがしたな。
ユナ:そこが私は一番怖かった。戦争なら相手にも国や目的があるけど、今回は死者まで利用されるから、今まで積み重ねてきた人間同士の理屈が通じないんだよね。
サキ:かつての仲間に刃を向けるって本当にしんどいよ! 生きていた時を知ってる側からしたら、敵として割り切れるわけないし、私は読むだけでも苦しかったな。
ミコ:だから蛇王討伐を決意するアルスラーンが、以前よりずっと王らしく見えたよ。怖くないはずはないのに、自分が立つべき場所を決めたように感じたんだ。
ユナ:私は「王だから強い」じゃなく、普通の人間であるアルスラーンが決断するところに惹かれたな。相手が伝説の魔王でも、背負うものから逃げないんだよね。
サキ:そう考えると余計に応援したくなる! 怪物みたいな力がある主人公じゃないから、仲間と一緒に王都へ向き合う姿そのものが私はすごく頼もしく見えたよ。
昨日までの宿敵が同じ敵を見る、この共闘を見たかった!
ミコ:蛇王ザッハークという脅威を前に、これまで宿敵だった者たちまで協力する流れが私は熱かったな。因縁が消えたわけじゃないところがまたいいんだよね。
ユナ:そこ大事だと思う。仲良くなったから手を組むんじゃなく、今は何を優先すべきか判断した結果に見えるから、それぞれの人物らしさが残っている気がしたな。
サキ:私はもう「この人たちが同じ敵を見てる!」ってだけで興奮したよ! ずっと争ってきた時間を知ってるから、並ぶだけでも今までの積み重ねを感じちゃった。
ミコ:しかも人間同士で争っている間に、もっと古くて異質な脅威が出てきたわけでしょう。王位や因縁だけにこだわっていられない状況なのが皮肉だよね。
ユナ:私はむしろ、こんな状況だからこそ誰が何を選ぶのかが見えると思ったな。敵だった人物でもパルスへの思いや誇りまで全部同じではないんだって感じたよ。
サキ:そうなの! 昨日まで敵だったからって全部嫌いなわけじゃないし、共通の敵が出た瞬間に今まで見えなかった部分まで見えてくるのが私は好きだったよ。
ミコ:原作とは違う方向へ踏み込んでいるのに、「この人物ならこの場面でどうするか」を考える楽しさが残っているから、私はすんなり物語へ入れたんだと思う。
ユナ:私はそこに荒川弘版ならではの面白さを感じたな。知っている人物たちなのに組み合わせや状況が変わることで、もう一度それぞれを見直したくなるんだよね。
サキ:私は原作との違い以上に、このメンバーで蛇王に向き合うところを見られるのが嬉しかった! 長く追ってきたキャラほど、誰が並ぶかだけで胸が熱くなるよ。
アルフリードの選択が刺さる、派手な戦いだけじゃない強さがあった
ミコ:大きな戦いが続く中で、深手を負った兄を支えるアルフリードが私はすごく印象に残ったな。ゾット族らしい強さと家族への情が一緒に見えた気がしたよ。
ユナ:私は兄を支えることだけじゃなく、アルスラーンやナルサスの足手まといにならないよう身を引く判断に惹かれた。感情だけで動かないんだよね。
サキ:そこ、私はちょっと寂しくなったよ! ナルサスへの気持ちを知ってるから一緒にいてほしいとも思うのに、自分で離れる判断ができるのが格好よかったな。
ミコ:以前ならもっと気持ちのまま飛び込んでいく印象もあったから、私は今回の判断に成長を感じたよ。守りたいものが増えたからこその強さにも見えたな。
ユナ:それも分かるけど、私は成長したから大人しくなったとは思わなかったな。ゾット族としての誇りはそのままで、状況を見る視野が広がった感じがしたよ。
サキ:うん、アルフリードらしさが消えてないのがいい! 兄を放っておけない優しさも、邪魔にはなりたくないって潔さも、どっちも彼女なんだよね。
ミコ:蛇王や魔物みたいな大きな脅威が前面に出る巻だからこそ、こういう個人の選択が残るんだと思う。私は戦闘とは違う意味で胸に残った場面だったな。
ユナ:私はむしろ、こういう場面があるから主要人物を駒として見ずに済むんだと思った。それぞれに家族や大切な人がいて、戦場の外にも人生があるんだよね。
サキ:だから誰かが傷つくたびに怖くなるんだよ! 強い人たちだから大丈夫って思えないし、アルフリードの姿を見たら私はみんな無事でいてって願っちゃった。
知っている『アルスラーン戦記』なのに先が読めない、このルートが面白い
ミコ:24巻は原作を知っている人ほど「そこをこう持ってくるのか」って驚く巻だと思ったな。知っているキャラなのに、私はまた先を予想できなくなったよ。
ユナ:私は変更そのものより、第一部から積み上げてきた人物や因縁を使って別の最終局面を組み立てているところが面白かった。急に別作品には感じなかったな。
サキ:私は蛇王が本格的に出てきた時点で「ラスボス来た!」ってテンション上がったよ! しかも見たかった人物同士まで動くから、次々ご褒美が来る感じだった。
ミコ:それでも状況自体はかなり絶望的なんだよね。魔物が民を襲い、死者まで蘇って、味方も傷ついていくから、誰なら絶対安全とは私は思えなかったな。
ユナ:そこは私も緊張した。アルスラーンたちは超人的な力で全部ねじ伏せる集団じゃないから、蛇王の異質さが際立って、戦うだけでも無茶に見えるんだよね。
サキ:だからこそ宿敵同士が手を組む展開まで熱く感じるんだと思う! 一人じゃ無理そうな相手だから、今まで出会った人たちの積み重ねが力になる感じが好き。
ミコ:私はタハミーネにも目が向いたな。これまで複雑だった母としての部分に触れると、王家や血筋だけでは割り切れない感情がちゃんとあるように感じたよ。
ユナ:それも今回のルートだから見え方が変わった部分かもしれないね。結末を知っているつもりで読めないぶん、一人一人の選択を改めて追いたくなるんだよね。
サキ:私はもう原作と同じか違うかより、このアルスラーンたちがどこへ辿り着くのかを見届けたい! みんなの選択が報われてほしいって本気で思ったよ。
『アルスラーン戦記』24巻は、蛇王ザッハークの復活によって人間同士の争いを超えた脅威が王都を覆い、これまでの人物や因縁が新しい形で交差する一冊でした。アンドラゴラスの肉体を得た蛇王の恐ろしさ、宿敵同士が同じ脅威へ向き合う熱さ、そしてアルフリードやタハミーネから感じる人間らしい情も印象的。原作を知る人には違いを味わう楽しさがあり、漫画版を追ってきた人には積み重ねがつながる興奮があります。荒川弘版の物語がどんな着地点を選ぶのか、最後まで見届けたくなる第24巻でした。










---


