『薫る花は凛と咲く』23巻では、桔梗の土岐先生に凛太郎と薫子の交際が知られ、会いづらい状況の中で、塚田先生の取り持ちにより桔梗の校長も交えた話し合いが描かれます。
凛太郎が「薫子さんが大切なんです」と誠実に想いを伝える一方、土岐先生は千鳥と桔梗の断絶につながった過去を語ります。
かつて両校の生徒をめぐって起きた出来事と、それをきっかけに学校や土岐先生が生徒を守ろうとしてきた経緯も明らかに。
この記事では、凛太郎の言葉、土岐先生の過去、学校同士の関係が見え直す瞬間を、読了直後の3人がネタバレ込みで語り合います。
作品名:薫る花は凛と咲く(23)
作者:三香見 サカ
出版社:講談社
発売日:2026年06月09日
凛太郎の「大切」が刺さる、話し合いの空気が一変した瞬間
ミコ:凛太郎が校長先生たちの前でも「薫子さんが大切なんです」と言い切るところ、飾らない言葉なのに重くて、読んでる私まで姿勢を正したくなった。あの場面、かなり好き。
ユナ:その真っ直ぐさ、私は勢いより誠実さを感じたな。会いづらい状況が続いた後だからこそ、大人の前で自分の気持ちを言葉にする覚悟が強く見えた。あの落ち着きも良かった。
サキ:二人だけの恋の話だったら、あそこまで胸が詰まらなかったかも。校長先生までいる場で薫子を大切だと言える凛太郎、もうその一言で泣きそう。胸に残るよ。
ミコ:泣きそうになるの分かるけど、塚田先生が話し合いの場を作ってくれたことも大きいよね。生徒だけで抱え込ませず、大人同士で向き合える形になったのが好き。
ユナ:塚田先生の取り持ちがあるから、凛太郎の言葉も単なる反発に見えないんだよね。私はむしろ、ちゃんと話す機会そのものが用意されたことにほっとした。
サキ:ほっとした直後に土岐先生が自分の中にあったものを語り始めるから、感情が忙しかったよ。厳しく見えていた態度の背景に触れると、読み方まで揺さぶられた。
ミコ:背景を知ると、それまでの対立を単純に誰か一人のせいにはしづらくなるよね。過去の出来事が学校の対応まで変えていった流れは、かなり考えさせられた。
ユナ:そこは私も引っかかった。生徒を守ろうとする動きが始まりだったとしても、年月の中で別の形に積み重なっていくのが、人間関係の難しさっぽく感じたな。
サキ:難しさはあるけど、私は凛太郎がその場で逃げずに向き合った姿が最後まで残ったよ。恋人を大切にするって、こういう場面で言葉にすることでもあるんだね。
千鳥と桔梗はなぜ離れた?土岐先生の過去を知って見え方が変わる
ミコ:土岐先生が語った過去、千鳥と桔梗の断絶が急に昔話じゃなくなった感じがした。今まで見えていた壁に、具体的なきっかけがあったと知るだけで印象が変わる。
ユナ:印象は変わったけど、私は出来事そのものより、その後に学校側が生徒を守ることへ力を注いでいった経緯のほうが気になった。善意だけでは終わらないんだなって。
サキ:それもあるけど、桔梗の生徒が千鳥の彼氏と一緒にいるところを見られたことから話が動くの、日常の近くにある出来事だから余計に胸がざわついた。妙に身近で怖かった。
ミコ:その近さは怖いよね。からかわれた流れで転んでけがをして、保護者も動くことになる。小さく見える出来事が学校同士の距離にまで響いたのが忘れにくい。
ユナ:私はそこで、からかった千鳥の生徒が停学になったという部分も重く受け止めたな。一つの出来事に対して、学校がどう判断するかまで描かれると空気が変わる。
サキ:空気が変わるってまさにそれ。誰か一人の感情だけじゃなく、学校や保護者まで絡むから、読んでいて「ここから積み重なったんだ」って妙に現実味があった。
ミコ:現実味があるからこそ、土岐先生が長く生徒を守ろうとしてきたことも軽く扱えないよね。その姿勢と、結果として生徒間に生まれた歪みを一緒に見る巻だった。
ユナ:そこを両方見せるのが私は印象的だった。守るという行動自体を否定するより、長い時間の中で何が変わったのかを見るほうが、この作品らしく感じられたよ。
サキ:私は土岐先生の話を聞いたあと、前からあった千鳥と桔梗の壁を思い返したくなった。理由を知ってから読み返すと、同じ場面でも受け取り方が変わりそう。
恋愛だけじゃなかった、大人たちの向き合い方まで胸に残る
ミコ:今回、恋愛の緊張感だけじゃなくて、大人がどう生徒に向き合うかまで前に出てきたのが好きだった。塚田先生と土岐先生で立場が違うのも会話に厚みが出るよね。
ユナ:立場の違いがあるからこそ、校長先生まで交えた場が効いてたと思う。私は誰かが一方的に押し切るより、凛太郎自身の言葉を聞く形になったことが印象に残った。
サキ:その「本人の言葉を聞く」ってところ、すごく刺さった。凛太郎が薫子を大切だと伝える場面は、恋愛なのに告白とは違う種類の緊張があって手に汗かいたよ。
ミコ:告白とは違う緊張、確かにあるね。好きだと伝えるだけじゃなく、大人たちがいる場所で関係そのものに向き合うから、凛太郎の真面目さがより見えた気がする。
ユナ:私は逆に、凛太郎だけを格好よく見せる場面ではないところが良かったな。土岐先生にも語るべき過去があって、それぞれが抱えてきたものが同じ場に出てくる。
サキ:そこから土岐先生の話に入るの、感情の向きがガラッと変わったよね。私は厳しい先生として見るだけじゃ足りなかったんだって、読みながらちょっと戸惑った。
ミコ:戸惑いが残るのも自然だと思う。過去を知ったから全部納得、ではなくて、生徒を守ろうとした経緯と長年の影響をどう受け取るかは簡単じゃない。そこが難しかった。
ユナ:簡単じゃないから、私は先生たちの仕事の部分まで気になったよ。生徒の恋を止めるかどうかだけじゃなく、学校として何を守るのかが話の芯に触れていた気がする。
サキ:先生の仕事って視点で見ると、塚田先生が話し合いにつないだ行動もまた違って見えるね。私はあの橋渡しがあったこと自体、すごく救いのある動きに感じたな。
読み終えたら最初から見返したい、23巻で変わった人間関係の見え方
ミコ:23巻を読み終えて一番残ったのは、対立の理由が見えたことで、今までの人物の言動をもう一度考えたくなったこと。単に恋を応援するだけの巻じゃなかったね。
ユナ:私はそこより、凛太郎が自分の気持ちを自分の言葉で伝えたことが残ったな。周囲の事情が大きくなっても、薫子を大切に思う軸がぶれないのが心強かった。
サキ:その軸があるから、重い話の中でも二人の関係を見失わずに読めたよ。私は「薫子さんが大切なんです」の場面、ページを戻ってもう一回読みたくなった。
ミコ:戻りたくなるよね。しかも、その言葉の後に土岐先生の秘めていた思いへつながるから、誰かの本音が別の人の本音を引き出すような流れにも見えたんだ。
ユナ:そう考えると、今回の話し合いって勝ち負けで見る場じゃないんだよね。私はそれぞれが何を背負ってその場にいるのかを知る時間として読んだほうがしっくりきた。
サキ:勝ち負けじゃないって分かる。だからこそ、過去のけがや停学まで出てきたときも、事件の大きさより、その後に残ったものの長さに胸がざわざわした。簡単に流せなかったよ。
ミコ:その長さが、千鳥と桔梗の関係を考えるうえで大きいよね。昔の出来事だけじゃなく、守ろうとした姿勢が年月の中でどう受け継がれたかまで見えてきた。
ユナ:もっと言えば、若い二人の誠実さと大人側の積み重ねが同じ巻で並ぶのが面白い。私は年齢より、目の前の相手とどう話すかが大事なんだと受け取ったよ。
サキ:私は読後、誰かを大切に思うなら黙って守るだけじゃなく、必要なときに言葉にすることも大事なんだなって残った。この作品の人間関係、やっぱり好きだな。
『薫る花は凛と咲く』23巻は、凛太郎の誠実な言葉と、土岐先生が抱えてきた過去が重なり、恋愛だけでなく学校や大人の責任まで考えさせられる一冊でした。
千鳥と桔梗の断絶につながった出来事が語られることで、これまでの関係を見返したくなるのも大きな魅力です。
真っ直ぐな対話や、人を守ることの難しさを描く物語が好きな人におすすめ。
人物同士がこれからどんな言葉を交わし、関係を築いていくのかにも期待したいです。

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